中東―危機の震源を読む
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なぜ今年のサミットでは「中東」が避けられたのか
ドイツ・ハイリゲンダムでのG8(主要先進八カ国)サミットが六月八日に終わった。興味深いのは、奇妙なまでに中東について触れられなかったという点だろう。中東の諸問題がグローバルな政治課題でなくなっているとは思えない。イラクやパレスチナでの紛争や、レバノンやイランをめぐる対立はいずれも緊迫化・深刻化している。 振り返れば、二〇〇一年の九・一一米同時多発テロ事件以来、昨年までは、G8サミットは中東や、イスラーム主義のテロリズムにまつわる課題で忙殺されてきた。二〇〇二年六月、カナダのカナナスキスでは、首脳声明で九・一一事件が言及され、テロ対策が主要な議題となった。

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