ブックハンティング・クラシックス
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日本の「西洋崇拝」を覆したビルマ収容所体験の記録
『アーロン収容所 西欧ヒューマニズムの限界』会田雄次著中公新書 1962年刊 西洋史学徒の会田雄次は京都帝国大学副手時代の昭和十八年(一九四三)夏に「教育召集」を受け、京都で入隊した。ところが、帝大出のこの初年兵は、予想に反して翌年二月には輸送船で南方に送られることになり、その所属師団はやがてビルマ戦線に投入される。動員前の軍事訓練も不十分だったが、戦地では英空挺部隊との対戦で師団は大損害を受け、所属部隊はろくな火力もない敗残兵集団と化した。が、帝国陸軍の軍隊秩序は残った。会田は命令に服しながら、部隊と野戦病棟の間を「逃げ回った」。

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