ブックハンティング・クラシックス
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ベストセラー『ヒトラーとは何か』作者が描く「奇蹟」「錯誤」と「ユダヤの血」(下)

2013年には「瀬野文教訳」による新版が、さらに2017年には同訳の文庫版が出ている
(7)ヒトラーとエヴァ・ブラウンの素姓
ではアドルフ・ヒトラー自身は純粋にゲルマン、つまりオーストリア人またはドイツ人だったのか。必ずしもそうではないとする説がいくつもある。まずドイツの例を挙げる。
週刊誌『シュピーゲル』は少なくとも2回、この問題を扱っている。まず1957年第24号。その表題は「アーリアの証拠なし」。ここでは『ヒトラーの青年期』の著者、フランツ・イェッツィンガーの説が紹介されていて、それによると、ヒトラーには4分の1、ユダヤの血が混じっている、つまり祖父がユダヤだったというのであった。ただし、イェッツィンガーはアドルフの父アロイス・ヒトラーが2分の1ユダヤであるとするには十分な証拠が欠けているとしていた。

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