アメリカを震源地にした金融危機。ウォール街救済に向けて七千億ドルもの公的資金が投じられることになり、「大恐慌以来の危機」と言われるようになった。デリバティブ(金融派生商品)の膨張をはじめアメリカ流の市場万能主義が行き詰まった結果である。 アメリカはどこで道を誤ったのか? そもそも市場万能主義はどこで生まれたのか? 『ランド 世界を支配した研究所』は、このような疑問に対する一つの答えを示している。 減税や民営化によって政府の役割を最小限にし、すべてを市場に委ねようとする市場万能主義。一九八〇年代に米レーガン政権と英サッチャー政権が掲げた「小さな政府」路線として注目を集め、一九九一年のソ連崩壊をきっかけに世界へ伝播した。日本では小泉政権の郵政民営化として結実した。
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