中東―危機の震源を読む
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ドバイとサウジアラビアの「補完関係」考
三月の初頭に駆け足でアラブ首長国連邦(UAE)のドバイを経由してサウジアラビアの首都リヤドを訪れた。まず経由地のドバイの現状と将来を考えてみたい。 昨年十一月号(十月十八日発行)の本欄では、金融危機のドバイへの波及可能性について検討した。そこで焦点は、証券市場の下落がバブル化したドバイの不動産市場に波及するか否かにあると指摘しておいた。 湾岸ウォッチャーが息をひそめて見つめる中、決定的な衝撃を与えたのは、十月二十四日にインターネットで配信された『MEED』誌の報道。椰子の木型の人工島パーム・ジュメイラで知られる政府系不動産開発会社ナヒールが、第二の人工島パーム・ダーイラの浚渫工事を停止したというのだ。不動産需要の落ち込みと価格の下落は著しく、買い手がつかない物件が続出して市場が定まらない状態である。急激な信用収縮により、ドバイ企業は資金調達に困難をきたしている。
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