ナビタイムで世界に挑む「大西啓介」の突進

執筆者:杜耕次 2010年4月号
タグ: 中国 韓国 日本

 世界有数のIT(情報技術)大国でありながら、「ガラパゴス化」と揶揄される携帯電話のように、世界の通信ビジネスの潮流から日本企業は弾き出されてきた。
 フィンランドのノキアや韓国サムスン電子がハード(機器)のメーカーとして覇権を競い、OS(基本ソフト)やアプリケーションが連なるソフトの世界を見渡せば、アップルやグーグル、マイクロソフトなど米巨大IT企業が攻勢を強めている。
 日本勢が埋没する中で経路探索サービスのナビタイムジャパン(東京都港区)は、この分野で世界を相手にデファクトスタンダード(事実上の業界標準)を握れる可能性がある、唯一といえる「注目株」である。
 駅に着いた地下鉄車両から降りてくる乗客一人ひとりに、緑と白の自動車ラリー用ユニフォームに身を包んだ外国人ナビゲーターが「ハーイ、ナビタイム!」と叫びながら次々に寄り添う。三年前にこんなテレビCMを始めた当初には外国製タバコのコマーシャルと勘違いした視聴者も多かったようだが、いまや携帯電話向けサービス「NAVITIME」は有料会員約四百万人、無料サービス利用者を含めた月間ユニークユーザーが一千万人を超え、知名度は飛躍的に高まっている。

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