ナビタイムで世界に挑む「大西啓介」の突進

執筆者:安西巧 2010年4月号
タグ: 中国 韓国 日本

 世界有数のIT(情報技術)大国でありながら、「ガラパゴス化」と揶揄される携帯電話のように、世界の通信ビジネスの潮流から日本企業は弾き出されてきた。
 フィンランドのノキアや韓国サムスン電子がハード(機器)のメーカーとして覇権を競い、OS(基本ソフト)やアプリケーションが連なるソフトの世界を見渡せば、アップルやグーグル、マイクロソフトなど米巨大IT企業が攻勢を強めている。
 日本勢が埋没する中で経路探索サービスのナビタイムジャパン(東京都港区)は、この分野で世界を相手にデファクトスタンダード(事実上の業界標準)を握れる可能性がある、唯一といえる「注目株」である。
 駅に着いた地下鉄車両から降りてくる乗客一人ひとりに、緑と白の自動車ラリー用ユニフォームに身を包んだ外国人ナビゲーターが「ハーイ、ナビタイム!」と叫びながら次々に寄り添う。三年前にこんなテレビCMを始めた当初には外国製タバコのコマーシャルと勘違いした視聴者も多かったようだが、いまや携帯電話向けサービス「NAVITIME」は有料会員約四百万人、無料サービス利用者を含めた月間ユニークユーザーが一千万人を超え、知名度は飛躍的に高まっている。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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