手練の国際ビジネスマンでも、冠婚葬祭となるとちょっと勝手が違う。 取引先の英国の大百貨店会長がこちらの招待で訪日した折り、自動車事故で死去するという出来事があった。「会長の死骸はドライ・アイスに漬けてそのまま運んでもらわなきゃいけませんな」と支店の石倉総務課長がつい事務的に言ったところ、英国人のリチャード・ヒューム支店次長が、それを聞きとがめた。「ミスタ・イシクラ、死骸って言葉は使っちゃいけない。絶対にいけない。ご遺体、そう呼ばなくちゃならん。いいですか。ご遺体ですよ」 リメインズがとっさに出てくるような気の利いた英語教育を日本のビジネス戦士たちは受けていない。
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