リラックスを“強要”されるアメリカの子ども

執筆者:ルイーズ・ブランソン 2004年5月号
エリア: 北米

「目標に向かって努力せよ」――成果主義に追われるアメリカの子どもの生活は、もはや大人以上の過密スケジュールとなってしまっている。[ワシントン発]一九五〇年代や六〇年代のテレビ番組に描かれた、アメリカの子どもたちの生活をご記憶だろうか。『ビーバーちゃん』や『パパは何でも知っている』に登場する子どもたちの暮らしだ。ゆったり流れる夏の時間。暗くなるまで友だちと遊び、毎晩、ママの手作りの夕食を食べる。週末には家族で映画を見に行き、帰りはアイスクリームソーダで口のまわりをべたべたにする――。 生憎、こうした無邪気な子ども時代は、もはやアメリカの中流階級には存在しないといってもいい。子どもたちの時間は、「目標に向かって努力せよ」という圧力によって歪められているからだ。長らくアメリカの大人社会に蔓延してきた「努力して何かを達成せよ」という圧力は、この十年間にじわじわと子どもたちにも忍び寄り、今ではすっかりその生活を支配するようになった。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top