物価上昇率2%の「達成時期削除」した黒田・日銀「敗北宣言」の読み解き方

執筆者:鷲尾香一 2018年5月17日
タグ: 日銀 日本
エリア: アジア
日銀のホームページより、左は前回、右は今回の展望リポート。赤の下線部分が削除された。

 

 日本銀行は4月27、28日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、それまでの消費者物価指数(以下、CPI)の上昇率に関する「2%程度に達する時期は、2019 年度頃になる可能性が高い」という文言を削除した。

 27日の記者会見で、黒田東彦日銀総裁は文言の削除について、「あくまで達成される時期の『見通し』として示してきたが、市場の一部に『達成時期』と捉え、この変化を政策変更に結び付ける見方が根強く残っている。政策委員会は特定の達成時期を念頭において政策運営しているわけではない。政策スタンスが誤解される恐れがあるので今回から文言を削除した」と説明した。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
鷲尾香一(わしおこういち) 金融ジャーナリスト。本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。
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