「平和構築」最前線を考える
(9)
漂流する「国際刑事裁判所」と日本の立ち位置(上)

アフガニスタンでの戦争犯罪捜査をお膝元に拒否された、ベンスーダ主任検察官(ICCホームページより)
ICC(国際刑事裁判所)が漂流している。『フォーサイト』では昨年、アフリカ諸国のICCからの脱退騒動について書いたことがある(アフリカ諸国「国際刑事裁判所」脱退騒動の深層 2018年7月25日)。
この問題の背景には、ICCの捜査対象が、アフリカでの戦争犯罪に偏っているという構造的な傾向があった。ICCにとっては、この構造的な傾向を積極的に解消していくことに大きな利益があるはずであった。ところがそのための起爆剤として期待されていたアフガニスタンにおける戦争犯罪の捜査の開始を、ICC自らが拒絶するという事件が、4月に起きた。これは今後のICCの活動に大きな暗い影を落とす大事件であったと言える。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン