100兆ドルESGマネー争奪戦:EUと米の「会計基準」競争が新局面に

執筆者:小平龍四郎 2021年6月7日
エリア: 北米 ヨーロッパ
EUが発表した「欧州グリーンディール」は脱炭素をテコにした復権の切り札(欧州委員会公式サイト配信の動画より)
「タクソノミー」と「SFDR」で地歩を固めたEUは、ESGに関する会計・情報開示基準でもイニシアチブ確立に力を注ぐ。一方で、トランプ前政権時代の遅れを取り戻したいアメリカでは、米サンフランシスコにある民間組織「サステナビリティ会計基準審議会(SASB)」が6月に英IIRCを統合するなど巻き返しの動きが活発化。

「ESG」という言葉を毎日のように耳にする。そう感じる方は多いだろう。ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance (企業統治=ガバナンス)の単語の頭文字を組み合わせた造語だ。ESG投資といえば企業業績の成長性だけでなく、環境や社会問題への対応ぶりも加味して株式などの売買判断をする手法を指す。

 毎日のように耳にする、という直感は正しい。日本経済新聞のデータベース、日経テレコンを使って「ESG」という言葉を含む記事の本数を1年ごとに調べてみた。日経新聞本紙朝刊に限ると、2015年は28本だが翌年から48本、112本、190本、278本と急カーブを描いて増加。20年には471本に達した。それでもなお増勢は衰えず、21年は1~5月で258本。1カ月あたり51本として、1年間では600本をゆうに超える。1日に1.6本以上という計算だ。

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執筆者プロフィール
小平龍四郎 日本経済新聞社論説委員兼編集委員。1988年、早稲田大学第1文学部卒。同年、日本経済新聞社入社。証券部記者として「山一証券、自主廃業」や「村上ファンド、初の敵対的TOB」「カネボウ上場廃止」などを取材。欧州総局、論説委員、アジア総局編集委員、経済解説部編集委員などを経て現職。日経本紙コラム「一目均衡」を10年以上執筆している。著書に『グローバルコーポレートガバナンス』『アジア資本主義』『ESGはやわかり』(いずれも日本経済新聞出版社)がある。
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