「平和構築」最前線を考える
「平和構築」最前線を考える (39)

ミアシャイマー「攻撃的リアリズム」の読み方――ウクライナ侵攻「代理戦争論」「陰謀論」の根本的誤り(下)

執筆者:篠田英朗 2022年4月22日
エリア: 北米 ヨーロッパ
2008年4月、NATO首脳会議に出席後、記者会見するプーチン露大統領。NATOの拡大路線などについて「ロシアにとって直接の脅威になる」と批判した (C)EPA=時事
ミアシャイマーの思考の中心には、中国封じ込めを目的とするアメリカ主導のバランシング同盟形成があり、そこにロシアも参加させる発想がある。ゆえにミアシャイマーからすれば、2014年マイダン革命以降のウクライナをめぐる米露間の緊張は、欧州の事情でロシアとの間に火種を持つという構造的レベルでの誤りを意味しただろう。 (前編はこちらのリンク先からお読みいただけます)

*『ミアシャイマー「攻撃的リアリズム」の読み方――ウクライナ侵攻「代理戦争論」「陰謀論」の根本的誤り』(上)は、こちらからお読みいただけます。

 前稿では、ミアシャイマーがアメリカ外交政策に批判を向ける際のロジックを見たが、それを妥当とするかは、読者が「攻撃的リアリズム」の世界観を受け入れるかに依るだろう。

 私見では、ミアシャイマーの洞察の基本的な部分は、間違っていない。ウクライナのNATO加盟の可能性が、今回のロシア・ウクライナ戦争の構造的要因となっていることを否定するのは難しい。なんといっても、戦争を開始したウラジーミル・プーチン露大統領自身が、そのように説明している。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
篠田英朗 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1968年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院政治学研究科修士課程、ロンドン大学(LSE)国際関係学部博士課程修了。国際関係学博士(Ph.D.)。国際政治学、平和構築論が専門。学生時代より難民救援活動に従事し、クルド難民(イラン)、ソマリア難民(ジブチ)への緊急援助のための短期ボランティアとして派遣された経験を持つ。日本政府から派遣されて、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)で投票所責任者として勤務。ロンドン大学およびキール大学非常勤講師、広島大学平和科学研究センター助手、助教授、准教授を経て、2013年から現職。2007年より外務省委託「平和構築人材育成事業」/「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」を、実施団体責任者として指揮。著書に『平和構築と法の支配』(創文社、大佛次郎論壇賞受賞)、『「国家主権」という思想』(勁草書房、サントリー学芸賞受賞)、『集団的自衛権の思想史―憲法九条と日米安保』(風行社、読売・吉野作造賞受賞)、『平和構築入門』、『ほんとうの憲法』(いずれもちくま新書)、『憲法学の病』(新潮新書)など多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top