日野−トレイトン提携解消で商用車業界の再編必至

IN-DEPTH【ニュースの深層】

2023年5月1日
エリア: アジア
トレイトンは日野の親会社・トヨタのFCV技術に期待していたともされる[データ不正問題で記者会見する日野自動車の小木曽聡社長=2022年10月7日](C)時事
トヨタといすゞの復縁によってねじれた日野の提携関係が“正常化”。とはいえBYDからOEM供給を受けて製造販売する予定だったEVバスの「六価クロム問題」もあり、日野のEV戦略は全面的な見直しを迫られている。一方、トレイトンは中国系商用車メーカーとの新たな提携を模索すると見られる。

 

 日野自動車はフォルクスワーゲン(VW)グループの商用車メーカーであるトレイトンとの戦略的提携を解消することで合意した。商用車の電気自動車(EV)化や自動運転の早期実用化を目指し、2018年4月に始まった提携は短期間で解消される。両社は部品調達のための合弁会社を含めて各協業をすべて解消・終了する。今後、トレイトンを軸に商用車業界の再編が加速する可能性がある。

「日野もトレイトンもそれぞれの経営課題を優先することで合意し、戦略的協業の枠組みを解消することにした」(日野・小木曽聡社長)

 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、商用車も電動化・脱炭素化が求められている。長距離走行のトラックやバスのEV化には、重量のあるリチウムイオン電池を大量に搭載する必要があり、輸送効率の悪化につながることが大きな障害となっている。また、安全性を確保する自動運転技術に関しても、車体が大きく制動距離も長い商用車は一般的に制御が難しい。

 乗用車と比べて販売ボリュームの小さい商用車は、先進技術の研究開発に費やす投資も限られる。そこで日野とトレイトンは提携して、研究開発を分担しつつ、電動化や自動運転などの早期実用化を進める計画だった。

 だが、両社を取り巻く環境は短期間に大きく変化した。……

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カテゴリ: 経済・ビジネス
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