ダイハツで発覚した自動車の認証試験に関する不正が、業界再編に発展するとの観測が高まっている。ダイハツ工業はトヨタの完全子会社だが、ここで注目されるのがトヨタと資本提携しているスズキの動向だ。
ダイハツは4月、従業員の内部告発でドアトリム、5月にポール側面衝突試験での不正が発覚した。第三者委員会の調査の結果、すでに生産終了したモデルを含めて64車種174件という大規模な不正が明らかになり、国内外での車両の出荷および全工場の生産を停止している(マレーシアおよびインドネシア工場はその後に稼働再開)。
今後、再発防止策を整え国土交通省の承認を得て生産と出荷を再開する予定だが、時間がかかる可能性が高い。国交省は不正対象の全車種の安全性を調査してから一括承認を与えるのか、安全性が確認されたものから生産・出荷を認めるのかを決めかねている。再開時期が後ずれするほど、業績へのマイナスインパクトも大きくなる。
ダイハツは部品メーカーや自動車販売店に対して損害を補償する方針で、取引先と交渉を開始している。ダイハツは直接取引のある一次部品メーカーが国内だけで423社あり、資本関係のない販売店が約3万店ある。こうした補償も加わることでダイハツが巨額赤字に陥れば、親会社トヨタの業績への影響も避けられない。