ナポレオン軍を崩壊させた感染症に「新たな病原菌2種類」の痕跡

2025年11月23日
タグ: 健康 歴史 感染症
エリア: ヨーロッパ
ジャック=ルイ・ダヴィッド(1748-1825)による1802年の絵画「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」。フランス軍事博物館の「ナポレオンとヨーロッパ展」にて[2013年3月26日](C) REUTERS/Charles Platiau
フランス革命後目覚ましい活躍を見せ、皇帝まで上りつめたナポレオン・ボナパルト。1812年に「大陸軍(グランダルメ)」をロシアから撤退させたことは、ナポレオンの栄華の終わりを暗示する一大スキャンダルとなった。新たな研究から、当時の悲惨な状況が明らかになっている。

[ロイター]ナポレオンのロシア侵攻では、約50万人の兵士のうち30万人ほどが犠牲になった。今回の研究は、リトアニアの首都ヴィリニュスの集団墓地に埋葬された13人のフランス兵の歯からDNAを抽出。分析からは、これまで確認されていなかった病原菌2種類の痕跡が見つかった。パラチフス熱とシラミ媒介性回帰熱を起こす細菌だ。

 この発見は、極寒と飢えと疲労から弱りきっていた兵士の間で、複数の感染症が流行していたことを表す。ヴィリニュスの集団墓地は2001年に発見された。ロシアからの撤退ルートに設けられたもので、ナポレオン軍の兵士約2000〜3000人が埋葬されている。

「ヴィリニュスは1812年の撤退ルートの中で重要な中継地点だった。ヴィリニュスに着いた頃には、すでに多くの兵士が衰弱しており飢えと病に苦しんでいた。そして多数がヴィリニュスで命を落とし、すみやかに大量墓地に埋葬された」とパリ・パスツール研究所の分子生物学者・遺伝学者であり、研究の責任著者であるニコラス・ラスコヴァン氏は説明した。

カテゴリ: 医療・サイエンス
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