トリプル選に走る河村たかし名古屋市長

執筆者:松本龍一郎 2010年8月13日
タグ: 日本
エリア: アジア

 「すべては名古屋から始まるんだぎゃあ」が口癖の河村たかし名古屋市長が、今度は来年2月の「トリプル選」に向け動き出した。2月に予定されている愛知県知事選に合わせ、名古屋市長選、名古屋市議会選挙を同時に行なおうというのだ。
 その第1歩となるのが、河村市長の支援団体「ネットワーク河村市長」が8月27日から始める、議会の解散請求(リコール)の署名活動だ。署名開始から1カ月のうちに、名古屋市の有権者の2割に相当する36万5000人の署名が集まれば、12月に住民投票が行なわれる。ここで過半数を得れば、リコールは成立、市議会は解散し、市議選が実施される。市議選には自らが代表を務める地域政党「減税日本」から多数の候補を擁立し、過半数獲得を目指す。市長も辞任し、出直し市長選に臨むというのが、河村氏の目論見だ。
 「庶民革命・脱官僚」を掲げ、2009年4月の名古屋市長選に圧勝した河村氏は、「脱官僚」ゆえに役人や議会との軋轢が絶えなかった。昨年の6月と9月の定例会で継続審議となった市民税一律10%減税条例は昨年末に何とか成立させたものの、議員の定数と報酬を半減する条例案は2月定例会で否決。6月定例会では報酬半減条例案のみ提出したが、やはり否決された。市民税減税も、2月定例会で「1年のみ」に修正された。来年4月の統一地方選を待っていては、来年度の予算案が決まってしまった後だから、来年度の減税は実現できない。新たな議会勢力のもとで、減税、議員定数・報酬半減を実現させるのが、河村市長の狙いなのだ。

カテゴリ: 政治
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