「乱中に秩序あり。すべてを掌握している」 陳水扁総統は十月二日、台湾の中小企業代表と会見した際、現在の政治・経済情勢は一時的なものだとしてこう語った。唐飛・行政院長(首相)が辞任したのは、その翌三日のこと。陳水扁総統のこの発言は伏線だったのだ。台湾の新政権は五月二十日の発足から四カ月余りで、早くも最大の転機を迎えることになった。 国民党員の唐飛院長は、第四原子力発電所をめぐって建設停止を主張する民進党と陳水扁総統に反して賛成を表明していた。建設停止は陳水扁総統の選挙公約であり、経済部(通産省)も九月三十日には建設停止案を提出。行政院として最終決断を迫られていた時期だけに、この問題が辞任の引き金になったとの見方が根強い。
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