曲がり角のマイクロファイナンス(下)――地元州政府が規制法導入

執筆者:山田剛 2010年12月28日
タグ: インド
エリア: アジア

 今回の舞台となったインド南部・アンドラプラデシュ州は、かつてインド独立後もマハラジャが君臨したハイデラバード藩王国の版図として知られるが、貧困や格差はもちろん、低い農業生産性や児童労働、度重なる干ばつ被害など、インドの農村・地方が抱える後進性や低開発を代表する地域でもある。このためか、SKSをはじめマイクロファイナンス会社の半分近くが集中していると言われる。

 業界初のIPOで大きな論争を巻き起こしたSKSマイクロファイナンスは、その後も新たな激震に見舞われる。同社の役員会は10月、社長兼CEOのスレシュ・グルマニ氏を解任。グルマニ氏がこれに反発して法的手段に訴えたことから、一気にスキャンダルとして世間の耳目を集め、さらには急成長したマイクロファイナンス各社のコーポレート・ガバナンスにも疑問が沸き上がることとなった。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
山田剛(やまだごう) 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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