中東―危機の震源を読む
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「アサド後」の混沌をどう回避するか(シリア内戦2)
シリアでアサド政権の崩壊過程が加速している。首都ダマスカスへの反体制派の攻勢が続いており、政権側は用いる軍事的手段をエスカレートさせながらも撃退できないでいる。これまではアサド政権側が、反体制勢力の掌握した都市や街区を包囲して攻撃を加える形で主要な戦闘が行なわれてきたが、徐々に形勢は逆転し、首都ダマスカスやアレッポでも反体制勢力がむしろ包囲して攻勢に出る段階に入っている。大量の武器を蓄えて結束を固めるアサド政権の中枢が結束して戦闘を持続することは可能だが、正統的な政権として全土の支配を取り戻すことはもはや困難な情勢である。

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