インテリジェンス・ナウ

イラク選挙で秘密工作か「イランの影」を危惧するアメリカ

執筆者:春名幹男 2005年9月号
エリア: 中東 北米

 イラクがイランへの傾斜を強めている。 七月六日、イランを訪問したドレイミ・イラク国防相はシャムハニ国防軍需相と会談し、防衛協力に関する了解覚書に調印した。両国代表から成る委員会を設置して、地雷の除去やイラク軍近代化など五項目の協力について話し合うことになった。 さらにジャファリ首相も同月十六日からイランを訪問して、十人の閣僚、宗教指導者らと会談し、両国間のパイプライン建設や、イランからイラクへの電力供給で合意した。パイプラインはイラク南部のバスラとイラン南部のアバダンを結び、イラク産原油をイランで精製し、石油製品をイラクに送り返す計画だ。イランがイラクの学校、病院などの建設に約十億ドルを援助することも決まった。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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