新たな独立国が生まれたことはある。国家間の交渉で国境が動いたこともある。だが、力ずくで国境を変更させられた例は、少なくとも近年の欧州には見られない。
ロシアによるウクライナ・クリミア半島の併合がもたらした衝撃は、そこにある。もちろん、この併合は住民投票の結果であり、「住民投票で示された民意にロシアが従った」との体裁を、形式上は取っていた。一方で、ロシアの描いたシナリオにすべてが沿っていたのも、否定しがたい。
今はまだ、ウクライナ東部ドンバス地方で紛争が続いているから余裕もないだろうが、これが落ち着くと、ウクライナ政府は黙っていないだろう。ロシアに対し、領土返還を求めるに違いない。
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