「グリーンランド問題」の傷跡:欧州は「米国がいなくなる日」に備え始めた(下)/デンマーク国際問題研究所インタビュー

執筆者:国末憲人 2026年2月11日
エリア: ヨーロッパ
欧州7カ国によるグリーンランド派兵は、トランプの行動に対する抑止力として機能した[グリーンランドで射撃訓練を行うデンマーク兵=2025年1月18日](C)AFP=時事/FORSVARET/Simon ELBECK
グリーンランドの主権を要求したトランプ政権への不信は、欧州と米国の同盟関係に深い傷跡を残している。オレセン主任研究員はデンマークが完全に親米路線をやめるわけではないとしつつも、「米国は『根本的に信頼できない国』だと暴露された」と強調した。ある日、突然に外交・安保体制の「プランB」を迫られる――それは日本にとっても現実のリスクだ。【聞き手/国末憲人・東京大学先端科学技術研究センター特任教授、本誌特別編集委員】

 

一部の土地でも「主権の譲渡」には合意できない

 ――その後、NATO事務総長のマルク・ルッテが1月21日にトランプと会談しましたが、ここで「将来の合意の枠組みをつくった」とトランプは言っています。『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「デンマークがグリーンランドの一部の土地の主権を米国に譲り、米国はそこに基地を建設する」との構想が検討されたとも報じています2。そのような取引があり得るのでしょうか。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授、本誌特別編集委員 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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