ロシアによる全面侵攻下で盛んになったボランティアは、市民のレベルにとどまらない。ウクライナ以外の国家や国外の企業と連携し、政治レベルでも活動を展開する場合もある。地雷除去活動に携わる「平和のためのグローバル同盟」(GAPD)は、その一例である。
地雷除去をコーディネート
ウクライナでは、首都キーウ周辺や北部、東部、南部などロシア軍の侵攻をいったん受けた地域を中心に、地雷や不発弾が広範囲に残る。ウクライナ非常事態庁(SESU)などによると、汚染された面積は2025年3月時点でウクライナ本土の23%に及ぶ。2025年9月時点での地雷や不発弾による死者は354人、負傷者は932人に達する1。農業の再建や経済復興を進めるうえで、地雷や不発弾の除去はまず取り組まなければならない課題である。
GAPDは、その作業を支援するボランティア団体である。
地雷を巡っては、第1には、除去してもらいたい農家や自治体がある。第2に、その作業に必要な申請や手続きを担当する政府機関がある。第3に、地雷除去を支援しようとする国外のドナー団体がある。第4として、除去技術を持った企業やNGOがいる。これら4者の間を取り持ち、需要と供給を合致させ、その関係をコーディネートするのがGAPDの役割である。外国からの支援の可能性を把握するために、団体は外国著名人を加えた諮問委員会を設け、外国の団体とも連携する。一方でウクライナ政府にも働きかけるため、政界との強いパイプも維持している。
そのほか、地雷の被害に遭った人への心理精神面でのサポートや、地雷除去作業員を養成する教育機関の整備にも携わる。
この団体を設立し、会長職を担うのは、キーウで飲食店などを経営してきた実業家のマクシム・コフネンコ(53)である。全面侵攻を受けて弟が軍に志願し、配属されたのが地雷除去の部隊だったことからこの業界に関心を抱き、2023年に活動を始め、2025年にはNGO登録を済ませた。現在メンバーは約50人で、全員がボランティアである。
「地雷除去への農家の願いは切実ですが、彼らはそれをどこに訴えたらいいのか、どんな手続きが必要なのかはわからない。一方で、国外の財団などにとっては、地雷除去への支援が必要だとわかってはいるものの、具体的に誰がそれを求めているのか、情報がない。両方の要請を引き合わせ、結びつけるのが、私たちの仕事です。役所への必要な申請を支援するために財務管理の専門家も加わりました」
マクシムが説明する。
地雷除去は複雑な作業である。実際に作業を始める前に、機材をそろえ、作業員を集め、訓練を施し、現場の伐採や草刈りにも取り組まなければならない。1つの除去プロジェクトがあると、その予算の大半は事前の準備に費やされ、除去作業に割ける費用は2割に満たないという。
「だから、どこでいくら使われたのかを明らかにする透明性が欠かせません。すべてをオープンにして、途中でネコババなどされていないことを示さないと、ドナーは納得しないですからね」
GAPD顧問で弁護士事務所を経営するロマン・ウィスツキー(49)が語る。
作業に参加を希望するのは、圧倒的に女性が多い。夫を戦争で失った女性が「ウクライナの勝利に貢献したい」と志願するケースが少なくないという。マクシムは「きめ細かさが欠かせない作業ですから、女性向きといえるかもしれませんね」と話す。
地雷除去は、ボランティアの取り組みとは別に、ウクライナ政府が進めるプロジェクトも並行している。「ただ、政府の仕事はのろすぎる。あのペースだと100年以上かかるよ」とロマンは不満である。マクシムによると「ゆっくり急ぐのが地雷除去のこつ」だそうである。
大きな課題の1つは、
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