オリンピックを機にはっきりと覚醒した少数民族の“独立”意識。遠い北京からの制御は容易なことではなく……。 中国・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチに住む旧友と、久々に再会した。にぎやかに杯を重ね、北京オリンピックを前に相次いだテロ事件の話題になった時、彼の笑顔が急に凍った。「カシュガルやクチャなど南疆(自治区南部)一帯は物騒みたいですが、ウルムチは知り合いのみんなが安全だと断言していますね」と、平穏無事を確かめたつもりだったが、彼は困ったような顔つきになり、無言のまま何度も首を横に振って、右手を首に当てて力を込めグイッと前に引いたのだ。宴卓は一転、重苦しい沈黙に包まれた。
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