農家のためにも消費者のためにもならない減反政策に妄執してきたのは誰か。長野県のコメどころに事態正常化の動きを見る。「もうダメかもしれん」 関東地方で三十年以上コメを作り続けてきた専業農家の男性は、重苦しい沈黙の末にポツリと言った。十二月九日のことである。 この日、農林水産省は二〇〇八年産米の全国の収穫量を示す作況指数を発表した。数値は「豊作」に当たる一〇二。豊作になったのは七年ぶりだった。食糧危機が叫ばれる時代に歓迎すべきことにも思えるが、この男性はとてもそのような心境にはなれなかった。豊作は米価の下落を意味するからだ。
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