「日本は、どんな拡大抑止が必要だと考えているの?」 二〇〇九年三月ワシントンでオバマ政権入りが内定した長年の友人と昼食を共にした際、いきなりそんな質問をされて驚いた。返答に窮していると、彼は「日本の本土への核兵器配備なんてどうか」などと拡大抑止を強化する具体策を挙げ始めた。 拡大抑止とは、言い換えれば「核の傘」のことだ。日本は、中国や北朝鮮からの攻撃に対する抑止力として、同盟国米国の核戦力に依存している。「だが、いずれにしても非核三原則があるので難しい」。私はそう答えるほかなかった。 帰国して、当時の自民党政権に近い元政府高官に「日米間で拡大抑止について話し合っているのか」と尋ねると、彼は黙ってうなずいた。
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