【ブックハンティング】ウェブ時代の「無料戦略」その効果と限界

執筆者:山本一郎 2010年3月号
タグ: 日本

 本書『フリー』(クリス・アンダーソン著)は、新しい経済のシステムがどうやら発生していそうだ、と実感しているすべての人にとって最良の入門書である。その対義語は、大量生産やマスメディア、重厚長大な過去の産業すべてであり、本書はユーザーにモノを届けるための最良の作戦として「価値のあるものを無料で顧客に試行させる」方法を提唱している。方法論だけではない。いわば、新しいモノの売り方の思想、あるいは教条として、無料戦略で人をかき集め、そこに群がってきた人の何割かがその企業やサービスを熱狂的に支持して何度もお金を払ってくれるロイヤリティの高い客になる、というウェブ時代の商売のあり方を説いているのだ。

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