一月にフィリピンで政変があったとき、私は胸中「あ、またやってる」と、一種憐憫の情を覚えた。 数十万の群衆がマニラ街頭に出て、アロヨ副大統領と国軍参謀総長が先頭に立ち、みんなが笑顔で正義を行う満足感に浸っている。民衆の熱狂的支持を得て当選したはずのエストラダ大統領は、あれよあれよという間に「辞任」させられ、たちまちアロヨ新大統領の就任宣誓式。極貧から這い上がった男は捨てられ、コラソン・アキノそっくりな大金持ちのお嬢様が政権を握り、さすがアメリカの学校を出ただけに、お上手な英語で演説なさった。 フィリピンの憲法には「政権の交代は街頭において決する」と書いてあるのか? あれでも法治国家か?
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