エリツィン時代の利権政治への決別を謳ってきたプーチン政権下でも、新興財閥の影響力は無視できない。だがTV6の閉鎖・放送権入札の顛末からは、彼らを利用する大統領のしたたかさが浮かび上がる。[モスクワ発]世界の有力企業トップが一堂に会した一九九六年二月のダボス会議。その舞台裏で、巨額の資金とマスコミを支配し、後に「七人の銀行家」として知られるようになるロシアの新興財閥トップたちと政権の間に、ある「密約」が成立した。新興財閥は四カ月後の大統領選挙で再選が絶望視されていたエリツィン氏の窮地を救い、政権は見返りに利権を与えるという内容だ。
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