九月下旬の総選挙を前に、「新中道」を掲げドイツを率いてきたシュレーダー首相が大苦戦している。タカ派のシュトイバー氏が政権を手中にすれば、西ヨーロッパの保守化の波は最高潮となる。[ベルリン発]ポーランド、チェコなどが欧州連合(EU)に加盟する予定の二〇〇四年には、「鉄のカーテン」の残滓が完全に消えるはずの欧州大陸にいま、東西欧州の政治潮流の違いを改めて印象づける現象が起きている。カーテンの東側で、冷戦時代の支配政党である共産党の後継政党が次々に政権復帰を果たしているのに対し、西側では、ドミノ現象のように中道左派政権が倒れ、右派政権に代わっているのだ。

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