今も残るチェルノブイリの被害と囚われた医師

執筆者:サリル・トリパシー 2004年1月号
エリア: ヨーロッパ

原発事故被害の真実を突きとめようとした医師は、今も獄中にある。ベラルーシの圧政を物語る悲劇とは――[ロンドン発]ソ連時代、赤軍の少佐だったユーリ・バンダゼフスキー(四六)は、正規の訓練を受けた医師でもあった。一九九〇年、ベラルーシの「ゴメリ医療研究所」所長に任命されたバンダゼフスキーは、ソ連崩壊後もその職に留まった。各地の産科病院から寄せられる報告に目を通すうち、彼はひとつの異常に気がついた。胎児の異常により中絶手術を余儀なくされるケースが増えているというのだ。医師の間では遺伝子突然変異の症例も囁かれていた。一体なぜ、こうした事態が生じたのか?

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