「イラクの年」となった昨年、国連は米英両国のイラク攻撃を阻止できず、権威が大きく揺らいだ。ブッシュ米政権は「国連の無力」を強調し、有志連合による新しい国際秩序を模索。ノーベル平和賞を受賞したアナン事務総長にとっては屈辱の1年だった。米政府にも、アナン氏は仏独露寄りとの不満がある。双方の冷たい関係は2006年の事務総長退任まで続きそうだ。 アナン事務総長が膝を負傷し、病院で医師の診断を仰いだ。「ひざまずいている時間が長いからこうなるのです。一体何をしていたんですか」「11月の米大統領選でブッシュ大統領が落選するよう祈っていたので……」

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 拓殖大学海外事情研究所客員教授。1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所客員教授。国際教養大学特任教授、拓殖大学特任教授を経て、2024年から現職。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)、『ゾルゲ事件 80年目の真実』(文春新書)など。
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