「まぼろしの方」の存在感

執筆者:名越健郎 2010年2月号
カテゴリ: 政治
エリア: アジア

 鳩山由紀夫首相は短期政権に終わるとの見方が日増しに強まっている。米軍普天間基地移設問題や経済対策、予算成立という難題に加え、偽装献金疑惑で身動きがとれず、指導力の欠如を露呈した。 首相との会談を“なかったこと”にすべく「まぼろしの方」と呼ばれた小沢一郎民主党幹事長は事実上の独裁者として君臨。小沢氏の意見が「天の声」となってきた。首相の当事者意識は希薄だ。 鳩山政権は事業仕分けや八ツ場ダム問題などメディアの関心を引く術には長けているが、連立を組む小党に幻惑され、党内の亀裂も目立つ。迷走は予想通りとはいえ、内外政策は発足数カ月で八方塞がりとなりつつある。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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