【ブックハンティング】「真犯人」の存在を明らかにした“調査報道のバイブル”

執筆者:牧野洋 2014年2月21日
タグ: CIA 日本
エリア: アジア
 『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―』
『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―』

清水潔著
新潮社

 調査報道のバイブル――。本書を読み終え、こんな表現がぴったりではないかと思った。

 正直に言うと、民放テレビ業界については「そこは報道ではなくエンターテインメントの世界」と見下していた。そのため、メディア業界を取材するなかでも、報道やジャーナリズムという視点からこの業界を観察したことがなかった。本書の著者が民放テレビ局の記者だと知り、自分の無知と思い込みを恥じた次第だ。

 本書は、足利事件をはじめ北関東で起きた一連の事件を「北関東連続幼女誘拐殺人事件」としてとらえ、真犯人「ルパン」に迫るルポだ。すでにテレビ報道を見たり雑誌記事を読んだりして、この事件の概要を知っている人も多いだろう。だが、1つの物語としてまとめて読むべきである。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
牧野洋(まきのよう) 1960年生れ。83年、慶應義塾大学経済学部卒業、88年、米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクール卒業(修士号)。日本経済新聞社でニューヨーク駐在記者や編集委員などを務め、2007年に独立。著書に、日米のジャーナリズムを比較した『官報複合体』(講談社)や『米ハフィントン・ポストの衝撃』(アスキー新書)、『不思議の国のMA』(日本経済新聞出版社)、『最強の投資家バフェット』(日経ビジネス人文庫)などがある。
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