「安保法制懇」の議論は“お蔵入り”の可能性も出てきたが、国際情勢が日本に直視を迫る。「(在任中に)憲法改正を実現するのは難しいかもしれないが、集団的自衛権の問題だけはなんとしてもやり遂げたい」 今からちょうど一年前、自らが選ばれることになる自民党総裁選を前に、安倍晋三官房長官(当時)は周囲にそう漏らしていた。だが、「戦後レジームからの脱却」を旗印に掲げて就任した安倍首相は、党首として初めて臨んだ参議院選挙で惨敗。参議院の過半数を野党に握られたことで「安倍カラー」の強い政策に急ブレーキがかかり、首相が力をこめた安全保障政策の転換は難しくなった。集団的自衛権行使の是認と憲法改正問題。特に前者が「お蔵入り」(自民党幹部)になるのは濃厚とみられるが、米側の期待を高めてきただけに、日米関係への影響も避けられない。

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