インテリジェンス・ナウ

トランプ米次期政権に「韓国化」の危険:「公私混同」避けられるか

華麗なる一族となるか、君側の奸となるか――トランプ夫妻と娘のイバンカ氏(右から2人目)、その夫のジャレド・クシュナー氏(右端) (c)AFP=時事

 大統領官邸を舞台にした「情報漏洩」と公私混同の「側近政治」――。朴槿恵韓国大統領はついに任期中の辞任を表明した。トランプ米次期大統領(70)は来年1月20日に就任するが、もっとスケールの大きい、国際的規模の問題を抱えていて、議論になっていることが分かった。
 問題に絡んでいるのは、次期大統領と、長男ドナルド・ジュニア(38)、次男エリック(32)、長女イバンカ(35)とその夫ジャレド・クシュナー(35)の各氏。息子ら4人を含めて、大統領がビジネスと政治を混同する危険性である。
 4人は政権移行チームの執行委員も務めており、高官人事などをめぐって機密情報を提供してほしい、とオバマ政権に要求しているもようだ。特にクシュナー氏は次期大統領とともに国家情報長官オフィスによる「大統領日報(PDB)」の報告を聞きたいと申し入れている。しかし問題は、彼が最高機密である「トップシークレット」のセキュリティクリアランス(機密情報取り扱い資格)を持っていないことだ。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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