現代「京劇」考:中国の「反日」「抗日」は「暇潰し」か「イヤガラセ」か

執筆者:樋泉克夫 2017年9月25日
エリア: アジア
各種京劇は日本でも上演されるが……(2017年6~7月に東京、大阪、名古屋で上演された日中国交正常化45周年記念京劇「楊門女将2017」)

 

「革命現代京劇」は現代社会に材を採り、毛沢東思想の偉大さを讃えるために創作された京劇で、文革推進派は優秀と認定した8本を「様板戯(模範劇)」に指定した。当時、文革派は権力闘争を進めるうえでの最強の武器と見做すメディア――新聞、雑誌、舞台、映画、テレビ、ラジオ、書籍――を総動員して模範劇を伝え続け、全国民に「偉大領袖毛沢東」の絶対無謬性を教え込んだ。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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