独「シナゴーグ襲撃事件」実は激増「反ユダヤ」の凶悪化

執筆者:熊谷徹 2019年10月21日
エリア: ヨーロッパ
10月9日、ドイツのハレにあるシナゴーグを襲撃した容疑で拘束されたシュテファン・バリエ。武器は自作だった (C)AFP=時事

 

 10月9日に極右思想を持つ27歳のドイツ人が旧東独・ザクセン・アンハルト州ハレ市でユダヤ人の礼拝施設(シナゴーグ)を襲った事件は、同国に深い衝撃を与えた。第2次世界大戦後、ナチスによる犯罪と批判的に対決してきたこの国は今、極右による犯罪の増加という新たな試練に直面している。

犯罪を生中継

 10月9日は、ヨム・キップール(贖罪の日)と呼ばれる、ユダヤ教徒にとって1年間で最も重要な日の1つだ。この日の正午頃、ハレ市の北東部にあるシナゴーグにヘルメットをかぶった男が車で乗り付けた。内部では約50人のユダヤ教徒たちがヨム・キップールの礼拝に参加していた。

カテゴリ: 社会 政治
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執筆者プロフィール
熊谷徹(くまがいとおる) 1959(昭和34)年東京都生まれ。ドイツ在住。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。ワシントン特派員を経て1990年、フリーに。以来ドイツから欧州の政治、経済、安全保障問題を中心に取材を行う。『イスラエルがすごい マネーを呼ぶイノベーション大国』(新潮新書)、『ドイツ人はなぜ年290万円でも生活が「豊か」なのか』(青春出版社)など著書多数。近著に『欧州分裂クライシス ポピュリズム革命はどこへ向かうか 』(NHK出版新書)、『パンデミックが露わにした「国のかたち」 欧州コロナ150日間の攻防』 (NHK出版新書)、『ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか 』(SB新書)がある。
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