グローバルな「成長なき時代」をどう理解するか
岩村充『国家・企業・通貨 グローバリズムの不都合な未来』(新潮選書)
本作『国家・企業・通貨』著者の岩村充氏は、日本と世界の金融のあり方を透徹した視点で考察し、そこで練られたアイディアを実践してきた日本人の1人である。
私が彼の著作に初めて出会ったのは、2000年に公刊された『サイバーエコノミー』(東洋経済新報社)であった。その著作では、すでに非対称暗号の議論を提起し、暗号技術が金融の中核となっていくことが明解に論じられていた。暗号通貨が「流行」してから後に議論を追っかけ始めた私のようなものとは、年季の入り方が違うのである。そんな著者が、国家、企業、通貨を語るのであるから、面白くないはずがない。

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