【ブックハンティング】グローバルな「成長なき時代」をどう理解するか

岩村充『国家・企業・通貨 グローバリズムの不都合な未来』(新潮選書)

執筆者:齊藤誠 2020年3月20日
エリア: その他
 

 本作『国家・企業・通貨』著者の岩村充氏は、日本と世界の金融のあり方を透徹した視点で考察し、そこで練られたアイディアを実践してきた日本人の1人である。

 私が彼の著作に初めて出会ったのは、2000年に公刊された『サイバーエコノミー』(東洋経済新報社)であった。その著作では、すでに非対称暗号の議論を提起し、暗号技術が金融の中核となっていくことが明解に論じられていた。暗号通貨が「流行」してから後に議論を追っかけ始めた私のようなものとは、年季の入り方が違うのである。そんな著者が、国家、企業、通貨を語るのであるから、面白くないはずがない。

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執筆者プロフィール
齊藤誠 名古屋大学大学院経済学研究科教授。1960年名古屋市生まれ。1983年京都大学経済学部経済学科卒業、1983年住友信託銀行、1992年マサチューセッツ工科大学大学院経済学研究科経済学博士課程修了。1992年ブリティッシュ・コロンビア大学経済学部、京都大学経済学部、大阪大学大学院経済学研究科、一橋大学大学院経済学研究科などを経て、2019年より現職。専門分野はマクロ経済理論、ファイナンス理論、金融理論。2001年日経・経済図書文化賞(『金融技術の考え方・使い方』、有斐閣)、2007年日本経済学会・石川賞、2008年毎日新聞社エコノミスト賞(『資産価格とマクロ経済』、日本経済新聞出版社)、2011年全国銀行学術研究振興財団・財団賞、2012年石橋湛山記念財団・石橋湛山賞(『原発危機の経済学』、日本評論社)を受賞。2014年春に紫綬褒章受章。他の著書に『競争の作法』(2010年、ちくま新書)、『父が息子に語るマクロ経済学』(2014年、勁草書房)、『震災復興の政治経済学』(2015年、日本評論社)、『経済学私小説:〈定常〉の中の豊かさ』(2016年、日経BP社)、『危機の領域』(2018年、勁草書房)など。
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