【特別企画】視覚の差別主義にどう対抗するか|ジョージ・フロイド殺害映像とアメリカの映像文化|第3回

執筆者:飯岡詩朗 2021年8月1日
タグ: アメリカ
エリア: 北米
1991年3月3日、黒人男性ロドニー・キング氏が複数の警官に暴行を受け、顔面や腕、足の骨折、眼球破裂などの重傷を負った。 ©AFP=時事
ジョージ・フロイド氏を殺害した白人警官は有罪となり、この判決は画期的と評された。警官によって黒人男性が殺害されたことも、その決定的瞬間が映像として記録に残されたことも、決して初めての出来事ではなかったが、同種の事件でこれまで白人警官は無罪とされることが多かったのだ。いったい何が無罪と有罪を分けたのか――。

*第2回はこちら

6. ロドニー・キング暴行事件裁判と白人のパラノイア

 ロドニー・キングに暴行を加えた警官の罪を問う裁判は、陪審員により無罪の評決がくだされ、1992年4月29日のロサンゼルス暴動の直接の引き金となったと言われている。近隣の住民ジョージ・ホリデイが買ったばかりのビデオカメラでバルコニーから撮影した、無抵抗な者への一方的な暴力の様子が記録された映像がありながら、それがなぜ暴行を加えた警官の有罪を決定づける「証拠」となりえなかったのか? その映像を見るかぎり有罪が当たり前と思われる裁判において、なぜ警官は無罪となったのだろうか?

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執筆者プロフィール
飯岡詩朗 信州大学人文学部教授。専門は映画研究、アメリカ研究。立教大学大学院文学研究科博士前期課程修了後、立教大学アメリカ研究所に常勤嘱託として勤務。2008年、信州大学人文学部准教授、2020年、同教授。特定非営利活動法人「コミュニティシネマ松本 CINEMA セレクト」理事。訳書に『フィルム・アート――映画芸術入門』D・ボードウェル , K・トンプソン(名古屋大学出版会、共訳)、共著に『映画の政治学』(青弓社)など。
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