【特別企画】視覚の差別主義にどう対抗するか|ジョージ・フロイド殺害映像とアメリカの映像文化|第2回

執筆者:飯岡詩朗 2021年7月25日
タグ: アメリカ
エリア: 北米
1966年、パリで演説するキング牧師。 ©AFP=時事
白人警官の暴力によって、黒人男性が目の前で息絶える――。通行人が撮影した1本の動画が、昨年世界中で「BLM」運動を再燃させた。だが、黒人への暴力が映像という形で可視化されるようになったのは、決して最近のことではない。今から半世紀近くも前、マーティン・ルーサー・キング牧師はむしろ積極的に映像を利用し、黒人の権利を訴えていたのである。

*第1回はこちら

3. 黒人への暴力の「ドラマ化」——公民権運動の「演出家」としてのキング牧師

 奴隷解放宣言の発布から100年目にあたる1963年8月28日のワシントン大行進は、アメリカの黒人による公民権運動最大のメディア・イヴェントであったが、文字どおり「世界中が現に目撃」したといっても過言ではないこの日のキングの演説「私には夢がある」の冒頭には、大行進の意義を「ドラマ化」という言葉を用いて明確に述べている次のような一節がある。

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執筆者プロフィール
飯岡詩朗 信州大学人文学部教授。専門は映画研究、アメリカ研究。立教大学大学院文学研究科博士前期課程修了後、立教大学アメリカ研究所に常勤嘱託として勤務。2008年、信州大学人文学部准教授、2020年、同教授。特定非営利活動法人「コミュニティシネマ松本 CINEMA セレクト」理事。訳書に『フィルム・アート――映画芸術入門』D・ボードウェル , K・トンプソン(名古屋大学出版会、共訳)、共著に『映画の政治学』(青弓社)など。
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