
ジョージ・フロイド氏の似顔絵を掲げる「ブラック・ライヴズ・マター(BLM)」のデモ隊 ©AFP=時事
1.「世界中が見ているぞ」——暴力の可視化
新しく就任した司法長官から直々に呼び出された2人の連邦検察官が国家の「安全保障」のために裁判で戦うよう命じられる。長官の描いた「共謀罪」での告訴が無理筋であることを直接進言しながらも首席検事を務めることを渋々引き受けた若く有能な検察官は、長官室を退出後、こうつぶやく。「被告たちがまさに欲しがっている舞台と観客を与えることになる」と。ことの重大さをとらえきれていない同席した年長の検察官は「本気で大勢の観客が詰め掛けるとでも?」と応答することになるが、その言葉を即座に否定するように画面外から「世界中が見ているぞ!(The whole world is watching!)」という声が聞こえてくる。

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