国際人のための日本古代史 (148)

スサノヲ篇(11)スサノヲの「モデル」存在を示すこれだけの証拠

執筆者:関裕二 2022年7月30日
タグ: 日本
エリア: アジア
神功皇后と住吉大神を祀る社殿(大阪市・住吉大社/筆者撮影)
藤原氏が行った歴史改竄の中で、最大の敵は蘇我氏だった。同様に、その正体を歴史から抹消されたスサノヲ。歴史の綾を丁寧に解いていくと、この両者のつながりを示す証拠が次々と見えてくる。

 スサノヲの正体を明らかにすることはできるだろうか。

歴史をひっくり返した『日本書紀』

「神のモデルが本当に実在したのか」と思われるかもしれない。しかし、考古学がヤマト建国の詳細を明らかにしてくれて、神話が何かしらの事実をもとに記されていた可能性が高くなってきた。たとえば天孫降臨神話も、天上界から日向(南部九州)の高千穗に降りたあと、歩いて向かった地は笠狭碕[かささのみさき](鹿児島県南さつま市の野間岬)だったが、ここは、南西諸島から日本海や朝鮮半島に通じる航路の寄港地だった。その重要性を見落としてきたのは、現代的な感覚で地理を眺めていたからだ。神話には、何かしらの歴史がちりばめられている。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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