霞が関の“秩序”を固守するため「法の番人」が法解釈をねじまげた。哀れな「俗人」となった彼らは、自らの存在意義を否定した。 世間で「法の番人」と呼ばれる内閣法制局は、霞が関では「法匪」と呼ばれていた。私が通商産業省(現・経済産業省)の官房総務課で法令審査を担当していた二十五年ほど前の話である。 内閣法制局は、内閣(政府)が国会に提出する法案について、閣議決定に先立ち“純粋に法律的な”見地から問題がないかどうか審査する役所で、その了承がなければ政府は一切の法案を国会に提出できない。総勢百人にも満たない小所帯だが、とにかく頑固で頭が固く、法律の「厳密な解釈」を盾に一歩も譲らない。各省庁の官房で法令審査担当となった者の表情は一様に暗くなったものだ。
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