ゼレンスキー大統領、クルスク越境攻撃はロシアへの圧力と「正義の回復」を狙うと発言

2024年8月12日
エリア: ヨーロッパ
今回の攻撃はクレムリンにとって不意打ちだったと考えられる[2024年8月11日、ウクライナ・スームィ州](C)REUTERS/Viacheslav Ratynskyi
ウクライナのゼレンスキー大統領は8月10日、ロシア領内への侵攻について「正義を回復し、ロシア軍に圧力をかける」ための行動だと述べ、ロシア西部クルスク州に奇襲攻撃を仕掛けたことを初めて認めた。ロシア南西部にはロシア軍の増援部隊の到着も始まっていると伝えられる。

[ウクライナ・スームィ州発/ロイター]ロシア軍は戦争開始以来最大規模となる自国への侵攻に対し、激しい戦闘を6日目にわたって続けている。ロシア当局は10日、住民の緊急避難を進め、攻撃を受けた国境地帯3カ所に厳重な警戒態勢を敷いた。

 軍事アナリストは、今回の攻撃はクレムリンにとって不意打ちだったと分析している。また、ロシアの同盟国であるベラルーシも、ウクライナが領空を侵犯したとして、ウクライナとの国境に追加の兵士を派遣した。

 ゼレンスキー大統領は10日夜のビデオ演説で、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー最高指揮官とこの作戦について協議したと述べ、2022年2月にロシアが始めた全面侵攻と同様の対応を行うと宣言。また、「ウクライナは正義を回復できることを証明しており、侵略者に必要な圧力を確実にかけている」とも述べた。

 ロシア国防省は11日、クルスク州上空でウクライナの無人機14機とトーチカ戦術ミサイル4発を撃墜し、その他のロシア領内でも18機の無人機を撃墜したと発表した。同省は、この地上侵攻を「野蛮な行為」と非難し、軍事的に何の意味もないとする声明を発表している。

 ウクライナは最大でもロシア領の数十平方キロメートルを占拠したに過ぎず、これを自国領として主張する意図もない。一方で、ロシアはウクライナの国際的に認められた領土のうち10万平方キロメートル以上を支配している。

 ロシア軍のワレリー・ゲラシモフ最高司令官は8日、攻撃は食い止められたと述べたが、ウクライナ軍を国境まで押し返すことはできていない。ロシアの軍事ブロガーは、ロシアの増援が到着したことで状況は安定したものの、ウクライナも急速に部隊を増強中だと述べている。

カテゴリ: 軍事・防衛
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