[ウクライナ・スームィ州発/ロイター]ロシア軍は戦争開始以来最大規模となる自国への侵攻に対し、激しい戦闘を6日目にわたって続けている。ロシア当局は10日、住民の緊急避難を進め、攻撃を受けた国境地帯3カ所に厳重な警戒態勢を敷いた。
軍事アナリストは、今回の攻撃はクレムリンにとって不意打ちだったと分析している。また、ロシアの同盟国であるベラルーシも、ウクライナが領空を侵犯したとして、ウクライナとの国境に追加の兵士を派遣した。
ゼレンスキー大統領は10日夜のビデオ演説で、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー最高指揮官とこの作戦について協議したと述べ、2022年2月にロシアが始めた全面侵攻と同様の対応を行うと宣言。また、「ウクライナは正義を回復できることを証明しており、侵略者に必要な圧力を確実にかけている」とも述べた。
ロシア国防省は11日、クルスク州上空でウクライナの無人機14機とトーチカ戦術ミサイル4発を撃墜し、その他のロシア領内でも18機の無人機を撃墜したと発表した。同省は、この地上侵攻を「野蛮な行為」と非難し、軍事的に何の意味もないとする声明を発表している。
ウクライナは最大でもロシア領の数十平方キロメートルを占拠したに過ぎず、これを自国領として主張する意図もない。一方で、ロシアはウクライナの国際的に認められた領土のうち10万平方キロメートル以上を支配している。
ロシア軍のワレリー・ゲラシモフ最高司令官は8日、攻撃は食い止められたと述べたが、ウクライナ軍を国境まで押し返すことはできていない。ロシアの軍事ブロガーは、ロシアの増援が到着したことで状況は安定したものの、ウクライナも急速に部隊を増強中だと述べている。
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