「今週のトランプ」ラウンドアップ
「今週のトランプ」ラウンドアップ (17)

トランプ大統領の発言とアクション(7月3日~7月9日):新関税の書簡送付で「筆頭扱い」日本の合意への糸口とは

執筆者:安田佐和子 2025年7月11日
エリア: アジア 北米
日本には「わずかに(only)25%の関税を課す」という[日本宛の書簡を示すホワイトハウスのレビット報道官=2025年7月7日、アメリカ・ワシントンDC](C)AFP=時事
トランプ大統領と政権キーパーソンから飛び出した1週間分の発言を、ストリート・インサイツ代表取締役・安田佐和子氏がマーケットへの影響を中心に詳細解説。▼石破流「なめられてたまるか」と欧州の「チャーム・オフェンシブ」の差▼日本が筆頭、新たな関税の対象に選ばれた14カ国の理由▼交渉合意で「不確実性」の霧が晴れれば円安是正圧力も

 

石破流「なめられてたまるか」と欧州の「チャーム・オフェンシブ」の差

「チャーム・オフェンシブ」とは、自身の魅力を生かして目的を達成しようとする試みを意味する。2016年の米大統領選直後、勝利したドナルド・トランプ氏との会談に向け真冬のニューヨークへ乗り込んだ安倍晋三首相(当時)は、まさにその好例と言えよう。

 安倍氏の成功は、その後の各国首脳のトランプ対策にも生かされている。キア・スターマー英首相とトランプ大統領は6月16日、主要7カ国(G7)首脳会議の最中に米英の貿易協定に署名した。記者団の前でトランプ氏が合意書を取り出すと、風が吹き文書が散らばってしまう。これを跪いて拾ったのがスターマー氏だ。

出所:Forbes Breaking News/YouTube

 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、トランプ氏と会談したマルク・ルッテ事務総長が「ダディ(「父親」から転じて、「権力者」「強者」などを含意している)は時に厳しい言葉を使わなければならない」と茶目っ気たっぷりにコメント。これは、トランプ氏が停戦合意後も攻撃を止めないイスラエルとイランに業を煮やしFワードを口にしたことについて、面目を立てるかのようにユーモアで切り返したものだ。

 スターマー氏とルッテ氏は、一部では「媚びへつらった」と批判されたが、むしろ実利に配慮した行動と言えよう。英国はトランプ政権との貿易協定に署名に漕ぎつけたことで

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安田佐和子(やすださわこ) ストリート・インサイツ代表取締役、経済アナリスト 世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事するかたわら、自身のブログ「My Big Apple NY」で現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの上級主任/研究員を経て、株式会社ストリート・インサイツを設立。その他、トレーダムにて為替アンバサダー、計量サステナビリティ学機構にて第三者委員会委員、日本貴金属マーケット協会のフェローを務める。
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