【Analysis】トランプ大統領の大規模な原子炉推進に指摘される安全面の懸念

2025年11月2日
タグ: 原発 AI トランプ
エリア: 北米
ヴォグル原発は計画より7年遅れて完成し、費用は2倍以上に膨らんだ[ヴォグル原発の冷却塔=2024年8月13日、米ジョージア州ウェーンズボロ](C)REUTERS/Megan Varner
米原子力発電大手ウエスチングハウス(WH)の主要株主であるカナダのウラン生産大手カメコ(Cameco)、カナダの投資会社ブルックフィールド・アセット・マネジメント(Brookfield Asset Management)の2社は10月28日、米政府との間で原子炉建設の支援合意に至った。投資規模は800億ドル(約12兆円)、日米両政府が発表した5500億ドルの対米投資が活用されるとみられる。

[ロイター]米政府はウエスチングハウスの資金調達や許認可取得を支援する。米政府が同社から原子炉を購入する。その見返りとして、米政府は将来的な利益の20%を得る権利と、2029年までに企業価値が300億ドルを超えた場合には最大20%の株式を取得できる。

 これは過去数十年の米国の原子力分野で最も野心的な計画の一つであり、ドナルド・トランプ大統領が推し進める「人工知能(AI)データセンター向けの膨大な電力需要に応えるためのエネルギー供給拡大」方針を象徴するものだ。

 だが、この前例のない仕組みに対しては、環境や安全面でのリスクを警告する声も上がっている。上記のような資金面でのインセンティブ付与も、原子力事故防止を目的とした規制監督の独立性を損なうおそれがあると専門家は指摘する。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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