少子化によって多くの高校が定員割れに苦しむ中、通信制高校は2015年以降、生徒数を伸ばし続ける稀有な状況にある。高校には全日制・定時制・通信制の3課程があるが、このうち通信制の生徒数のみが2015年から連続して増加し、2024年度には29万87人と過去最高を記録した。特に私立通信制高校の伸びが顕著で、2024年度には22万9754人に達し、前年度比で2万2217人の増加となった。結果として、高校全体に占める通信制高校の生徒が占める割合も上昇し、2024年度には9.1%となった。
2023年度の通信制高校は289校(公立78校、私立211校)であったが、2024年度には303校(公立79校、私立224校)へと増加し、前年度比で14校増加した。さらに2025年度中に公立4校、私立15校の新設が予定されている。
新設校の多くは全日制と通信制を併置する形態で、これまで私立の通信制高校が存在しなかった徳島県、群馬県においても新たに認可校が開校する予定であり、全国的な需要の高まりが確認できる。
背景には、不登校の高止まりがある。2023年度には小中学校で約35万人が不登校となり、11年連続で過去最多を更新した。2018年2月に行われた「定時制・通信制高等学校における教育の質の確保のための調査研究1」によれば、広域通信制高校の在籍者のうち、小中学校や前籍校で不登校を経験した生徒の割合は66.7%に達している。つまり、従来の学校教育になじめなかった子どもの増加に伴い、その受け皿として通信制高校の存在感が強まっているのである。
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