公に北朝鮮支援を言い出した統一教会

執筆者: 2000年9月号
タグ: 北朝鮮
エリア: アジア

 これまで非公式に朝鮮半島問題に関与してきた統一教会が、方針を変えて国際舞台で公に活動し始めた。北朝鮮を故郷とする教祖の文鮮明氏は九〇年代以後、北朝鮮政権との経済交流を秘密裏に続け、故金日成主席とは特に親密だったといわれる。
 文鮮明氏は八月十七日から二十日まで、ニューヨークの国連本部で開かれた会議に出席、朝鮮半島の南北軍事境界線周辺を国連管理の平和公園にする二とを提案した。世界の著名な政治家、宗教家を集めたこの会議は、事実上統一教会が支援する国連傘下の宗教NGOが開いたもの。
 さらに文鮮明氏は、朝鮮半島の軍事境界線だけではなく、世界のあらゆる国境線を平和公園にしょうと提案。公園の造成で生じる経済損失について、自らの資産を拠出すると話し、そのために南米に所有する百二十万ヘクタールの土地を平和公園開発のための基金として提供することを約束したという。
 国連第二会議室で開かれたこの会議には、ボブ・ドール前共和党大統領候補とエドワード・ヒース元英国首相を含む三百名余りの政治家、宗教指導者が出席し、統一教会が世界に対して存在感を誇示した格好だが、その狙いをいぶかる向きもある。

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