米国同時テロで浮かぶ加藤氏、沈む小沢氏

執筆者: 2001年10月号
カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
エリア: アジア

 米国を襲った同時多発テロは、不遇をかこっていた自民党の加藤紘一元幹事長にテロ対策特別措置法案を審議する衆院特別委委員長ポストという思わぬ光明をもたらした。九〇年の湾岸危機の際、衆院国連平和協力特別委委員長を務めた経験を買われての起用だが、小泉純一郎首相、山崎拓幹事長が盟友とはいえ、昨年の騒動の後遺症はまだ癒えておらず、同時テロという前代未聞の事態でなければ再登場はなかった。 しかし、久々の檜舞台にすっかり舞い上がった加藤氏は、「米国はドンとやる。そのときはすぐ支持表明する」「今回は世界的、国内的な支持がある」と前のめりの発言を繰り返し、事件直後の対応の鈍さを指摘された小泉首相の存在をすっかり忘れている。そのうえ、野中広務元幹事長に特別委筆頭理事への就任を要請して体よく断られるなど、軽さは相変わらず。それでも民主党の菅直人幹事長らとのパイプを強調し、水面下では腹心の谷垣禎一元金融担当相らを使って橋本派との関係修復を図るなど、これを好機とばかりに勢い込んでいる。かつての腹心である古賀誠前幹事長が、十月初めに「田中真紀子外相更迭」をにおわせたことも、元々外相に色気のある加藤氏を調子づかせている要因だろう。

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